(Q116)路線の減便・廃止についてのいくつかの質問

2025年8月12日の長野県公共交通活性化協議会で、屋代須坂線の減便・撤退を表明しました。これ以外にも、牟礼線の廃止(2025年10月)、永田・親川線の廃止(2026年4月)、中野木島線と野沢線の統合(2026年10月)などの発表、報道もあり、いくつかの質問を頂いています。

(2025年8月18日更新)

Q1.減便・廃止の理由は何ですか?

A1.輸送の適正化です。定員11人以上の自動車をバスと言い、大型バスは定員30人以上です。10人以下の輸送量の路線は、それに適した輸送機関に担って頂きたいと考えます。

Q2.運転士不足は解消したのですか?

A2.路線の減便や廃止により、ある程度小康状態を保っています。しかし、求人市場は引き続き厳しい状況で、定年退職などを見込むと、中長期的に供給量を調整して行く必要があります。

Q3.やりくりがつく範囲で路線を維持していただけませんか?

A3.バスの運転士は普通免許で運転できない11人以上の自動車、中型免許で運転できない30人以上の自動車を運転できるライセンスの持ち主です。これら大型免許を持ったプロドライバーを必要とする路線がほかに数多くありますので、総合的に判断しています。

Q4.屋代須坂線は70%が通学利用という報道がありました。通学利用だけでも維持できないのですか?

A4.通学は朝と夕方に偏っているほか、曜日などによって利用時間帯が異なります。路線バスは1日を通して平均的に利用が多くないと維持できません。

Q5.車を運転できないので、通院などでバスが必要です。そういった利用を切り捨てるのですか?

A5.屋代須坂線の現状は、通学時間以外の便の利用人数は1便につき1桁です。これに11人以上乗れるバスを使うことが効率的ではないという結論です。これらの移動需要には、少人数でも利用可能なタクシーなどが対応可能です。

Q6.タクシーの運賃は高いので、簡単に利用できません。

A6.タクシーは4~5人しか乗れませんので運賃が高いのです。大型バスは30人以上乗れるので、それを基準に安い運賃が設定されています。これまで1桁の人数で安い運賃だったのは、その不足分をバス事業者または行政機関が補填していたからです。

Q7.行政から補助金をもらえばいいのではないですか?

A7.屋代須坂線をはじめ、行政に対して廃止の相談をしている路線は、既に補助金を頂いている路線です。補助金をもらえれば維持可能ということでもありません。

Q8.新規開業するイオンモール須坂への路線バスは増便すると聞きましたが、整合性がとれないのではないですか?

A8.バスを必要とされるお客様の多いところ、つまり需要のある路線については、今後も維持または増便を図る可能性があります。長野市内中心部の路線も、コロナ後にかなり減便をしており、利用実態を踏まえると、少しでも元の水準に戻したいと考えています。

Q9.儲かればいいということですか?

A9.民間企業ですから利益を出すことは必要です。その利益で待遇改善や設備投資などをすることで、今後の路線バスの維持につなげることが可能になります。

Q10.運賃を上げて維持すればいいのではないですか?

A10.現在の利用人員で運賃収入だけで利益を上げるためには、数倍に値上げする必要があり非現実的です。なお現在の屋代須坂線は、鉄道運賃をベースにした安価な運賃で、かつ通学定期券割引、高齢者割引(おでかけパスポート)などで利用促進を図っていますが、それでも利用が少ないのが現状です。

Q11.小型バスにして経費を削減すればいいのではないですか?

A11.バスを小さくしても運転士が一人必要なのは変わらないほか、維持費も大きくは変わりません。むしろ小さなバスで足りる輸送量であれば、利益は出ません。(小型バスで運行している既存路線の多くは、市町村からの受託路線です)

Q12.経費を削減するなどの経営努力はしているのですか?

A12.長電バスのキロ当たり経費は長野県のバス事業者の中では最低水準であり、長野県平均を約100円下回っています。近年の諸物価高騰などにより、これ以上の経費削減は難しい状況です。むしろ、従業員の待遇改善や設備投資などにより長期的なバス事業の維持を図る時期に来ていると考えています。

Q13.本数を増やすなどの改善をしないと、利用しろと言われても利用できません。

A13.屋代須坂線の場合は、運行開始当初は鉄道の本数をそのまま維持していました。それでも利用が少ないため、利用実態に見合った便数に時間をかけて削減してきました。他の路線も同様で、本数の多かった時にそれに見合った利用がなかったことが現在の便数になった理由です。

Q14.インバウンドや貸切バスなど、利益の出ている部門があるなら、その利益で生活路線を維持すべきではないのですか?

A14.民間企業の利益は、待遇改善、設備投資など企業が成長するために使います。もちろん総合判断のもとで赤字を埋めるために使う場合もあります。しかし、今年度からはコロナ禍で売上が消滅した際の借入金の返済が始まり、資金的には厳しい状況が続きます。